固定金利と変動金利はどっちがお得?

住宅ローンを組む際に非常に悩ましいのが固定金利と変動金利のどちらを選択するか?ということではないでしょうか。
「どっちがお得になるのかという視点では答えが出ない」とも言われるのですが、でも私たちが本当に知りたいことは「ぶっちゃけどっちがお得か?」ということに尽きます。
だって家を買う機会なんて一生のうちに1回あるかないかなので、絶対に失敗したくないですもんね。
固定金利と変動金利の違いや、どちらの金利タイプでお金を借りるのが向いているのかなどをご紹介しますので、自分に適した金利を知っておきましょう。
固定金利とは?
固定金利(全期間固定金利型)は借入時から完済時まで金利が変わらない借入方法です。
社会情勢などで金利水準が上がったとしても固定金利の見直しが行われることはありませんので、毎月の返済額も最初から最後まで同じです。
固定金利のメリット
固定金利最大のメリットは金利・返済額が変わることがないので、返済計画が立てやすく安心して返していけるところです。
長期的なライフプランが立てやすいため、リスクを避けつつ安定した返済が可能になります。
固定金利のデメリット
固定金利のデメリットは、金利水準が変動しても固定金利には良くも悪くも影響はないことから、変動金利と比べると返済額が多くなるという部分です。
そもそも全期間固定金利型よりも、変動金利または固定金利期間選択型の方が金利が低く設定されているので、固定期間が長くなる全期間固定金利型は金利が高くなる傾向があります。
変動金利とは?
変動金利は返済中に金利の見直しがある借入方法です。
見直しのタイミングは「半年に1回」が一般的です。ただ、金利が上下してもすぐに返済額に変更があるわけではなく、返済額が変動するには「5年に1回」になります。
この間に金利が上がれば5年後の返済額も上がるということになります。
また、どんなに金利が上昇したとしても、それまでの返済額の125%が上限になるというルールもあります。仮に毎月の返済額が10万円だとすると、金利が上がっても12万5,000円よりも上がることはありません。
金利がどれだけ上がっても返済額に上限があるということになるので、一見すごくお得に感じられますがここにはからくりがあります。
金利の上下そのものに制限があるわけではないので、この125%ルール適用中は元金と利息の割合に調整が入ることになるんです。
当然利息の割合が大きくなるので、元金がなかなか減らない・・・という事態に陥る可能性もあります。
実際の返済額が135%になってしまった場合、125%をオーバーする10%分は大目に見てもらえるわけではなく、次回更新時に繰り越しになってしまいます。
変動金利のメリット
借入時の金利が固定金利よりも低金利なところは非常に大きなメリットです。
借入期間が短ければ毎月の返済額を最小限に抑えた状態で完済することも可能です。借入期間が長くなってしまったとしても、金利が低い状態が続けば固定金利よりも返済総額が少なくなります。
変動金利のデメリット
金利変動の影響を確実に受けるので、将来金利が上がる可能性が考えられます。
そうなると125%ルールがあるとはいえ返済額は上がりますし、当初の想定より大幅に元金の返済が進まない・・・というケースも十分あります。
固定金利期間選択型という方法もある
固定金利期間選択型は最初の数年間(3年、5年、20年など任意の期間)は固定金利で支払いを行い、期間終了後は変動金利で支払いをするタイプです。
例えば「10年固定金利」なら10年間は固定金利で支払いを行い、それ以降は原則変動金利となりますが、再度固定期間を選べることもあります。
固定金利期間選択型のメリット
金利水準に動きがあっても当初の固定期間は金利も返済額も変わらないので、とりあえずの返済計画は立てやすいですね。
固定期間終了後も返済方法を選択できるので、ライフステージの変化に合わせた無理のない返済が可能になります。
また、全期間固定金利型よりも金利設定が低くなるので、金利面でのメリットもありますし、10年よりも5年、5年よりも3年という感じで、固定期間が短いとさらに低金利になります。
固定金利期間選択型のデメリット
固定期間終了時に変動金利にすると、金利動向によっては大幅に返済額が増えてしまう可能性もあります。
固定金利と変動金利、どっちを選ぶべき?
固定金利と変動金利、それから固定金利期間選択型の特徴とメリット・デメリットがわかったところで次に知りたいのがどれを選ぶのがお得?というところです。
住宅ローン利用者の実際のケースを参考にしてみよう!
住宅金融支援機構が行っている「民間住宅ローン利用者実態調査」で、住宅ローン利用者が実際に選択した金利タイプが発表されています。
最新版となる2018年度第2回 2018年10月~2019年3月の結果をご紹介します。
みんなはどの金利タイプを選んでるの?
●住宅ローン利用者が選択した金利タイプ
変動金利 | 60.3% |
固定金利期間選択型 | 25.1% |
全期間固定金利型 | 14.6% |
近年は低い水準で金利が安定していたことから、「6割以上が変動金利を選択した」という結果になりました。
また、全期間固定金利型利用者のうち、「フラット35」の利用割合は59.9%となっています。
固定金利期間選択型の期間は?
固定金利期間選択型で借りる場合、当初の固定金利で払う期間を設定しなければいけません。
この期間として最も多く選ばれたのは「10年」でした。
●固定期間選択型 当初の金利固定期間
10年超 | 31.1% |
10年 | 49.2% |
5年 | 7.4% |
3年 | 7.2% |
2年 | 1.6% |
その他10年未満 | 3.5% |
約半数が10年を選択していますが10年以上を選んでいる層も多く、比較的長い期間が選ばれているようです。
これらは過去の金利動向によるものですし、住宅ローンの返済期間は何十年にも及ぶものなので決して鵜呑みにはできませんが、金利タイプを選ぶ際のひとつの参考になりそうです。
どの金利タイプが向いてる?目安はあるの?
3つの金利タイプのどれが自分に合っているのか、目安があれば知りたいものですよね。
金利そのものはアップダウンがあるのでローンを組む時期によってお得な選択方法は変わってくるのですが、適していると思われる金利タイプは以下となります。
固定金利(全期間固定金利型)が向いているタイプ
返済計画を最初から長期で考えられるタイプ、景気や社会情勢で不安を感じたくない人、コツコツ着実に返済していきたい人に選ばれやすい金利タイプです。
固定金利(全期間固定金利型)は、当初の設定よりも金利が下がることはないですが上がることもなく、毎月確実にローン残高(元金)を減らせるというメリットがあります。
ローン残高を手堅く減らしつつ、返済額が上がるリスクを避けることができるので、将来的に教育費などで支出が増えることがわかっている場合にも向いています。
また、変動金利と固定金利期間選択型を選択するなら、日常生活の中で金利動向をチェックしたり定期的に返済シミュレーションを行う必要があります。
時には金融機関の窓口に行って相談した方が安心できるでしょう。こういったことを行う時間をとてもとれない人もいれば、そもそも向いていない人もいます。
生活スタイルや性格といった、人それぞれの生き方で向き不向きもありますね。
変動金利型が向いているタイプ
変動金利は金利上昇のリスクを選んで金利負担を減らす方法ですので、できるだけ短期間で完済できるケースに向いています。
夫婦共働きでどんどん返済できる場合やボーナス返済も併用できるなど、返済能力が高い場合には有利になりやすいです。
借入希望額が少なく短期間での返済が可能であったり、数年後に昇給する可能性が非常に高く返済額が増えても耐えられるなど返済計画に余裕があるとさらに安心です。
金利変動のチェックも欠かせませんし、金利上昇リスクにも注意を払いたいところです。
固定金利期間選択型が向いているタイプ
固定金利期間は当面の返済額が安定しているので、この間は変動金利と比べて多少金利が高くてもコツコツとローン残高を減らせます。
子育て世代など何かと出費が大きい時期は安定した支払いをして、それ以降は夫婦共働きでどんどん返済できる場合や、10年後に退職金などの大きなお金が入ることが確実な場合などには向いているでしょう。
ただ、期間終了後は金利の影響をもろに受けることになるというリスクは理解しておかないといけません。
金利タイプを切り替えることはできる?
固定金利にも変動金利にもメリット・デメリットがあるので、金利状況で不利になってきた時に切り替えができれば非常に助かります。
でも、そんな都合の良いことってできるのでしょうか?
住宅ローンを例にして見ていきましょう。
固定金利型から変動金利型に変更できる?
固定金利は最初から最後まで同一金利で返済することが約束となる借入方法なので、一般的には固定金利(全期間固定金利型)から変動金利・固定金利期間選択型に変更することはできません。
ただし、住宅ローンそのものを借り換えて、別の金融機関で変動金利として借り直すことは可能です。
借り換え手数料や事務手数料などが発生するので金利だけでは比較することは危険ですが、借入時よりも金利が下がってきたら借り換えも検討すべきでしょう。
※一部金融機関では同一金融機関で固定金利から変動金利に変更できることもあるのですが、変更可能かどうかは事前に必ず確認しておかなければいけません。
また、変更可能な場合も手数料がかかることになります。
変動金利型から固定金利(全期間固定金利型)に変更できる?
「最初は金利が低い変動金利を選んでおいて、金利が上がったら固定金利(全期間固定金利型)に変更したい」と希望する人は多いです。
この場合は、比較的簡単に変更が可能です。
手数料が発生することもありますが、「窓口での変更は手数料有料だけどインターネットからの手続きなら変更手数料無料」というケースもあります。
例えば三井住友銀行の住宅ローンの場合、手数料は以下のようになっています。
金利タイプの変更内容 | 受付方法 | 手数料(税込) | |
・固定金利特約型の再設定 ・変動金利型から固定金利特約型への切替 |
SMBCダイレクト (インターネットバンキング) |
無料 | |
窓口 | 専用パソコン | 5,400円 | |
書面 | 16,200円 |
同じ変更内容でも手続き方法によっては最大16,200円も異なるので、馬鹿になりませんよね。
金融機関が提供しているインターネットバンキングの利用登録は非常に簡単にできますので、ぜひ事前にやっておきましょう。
金利の動向を正確に予測することはできない(まとめ)
変動金利型から固定金利(全期間固定金利型)への変更は比較的簡単にできるということで、いざ金利が上がった時にも安心!と思われた方もいらっしゃると思います。
しかし、変動金利が上がるということは、固定金利も借入時よりも上がっていることが考えられます。
そもそも固定金利の方が高く設定されているものなので、変動金利が上がったからといって固定金利に切り替えても長期的に考えると返済額が少なくなるとは限らないんです。
かといって固定金利で着実に返済していくつもりだった場合も、突然働けなくなって返済が苦しくなることもあります。
こういったマイナス要素を考えていくとキリがないのですが、住宅ローンは返済期間が長くなるのは確実なのでリスクヘッジも必要です。
まずは金利の仕組みから理解して、収入・生活・将来設計・ご自分の性格など総合的に判断していきましょう。
