ファクタリングとは

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売掛金の回収や資金の調達は、企業運営にとっていつでも大きな悩みとなっています。そこで近年注目されているのが「ファクタリング」という資金調達方法です。

ここではファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説していきます。


ファクタリングとは?

ファクタリングとは、回収前の売掛債権を買い取ってもらって資金調達したり、売掛債権に保険をかけてリスクを回避する方法のことです。

日本の商業分野における古くからの習慣として、商品を先に提供して代金は後から回収するという流れがあります。業者間の信用取引ですね。

しかし、こうした信用取引では、「月末締めの翌々月払い」など入金が後になることから、規模の小さい企業ほど資金繰りに苦しむことになりますし、考えたくないことですが売掛金の入金が遅れてしまうことで共倒れという危険性もあります。

支払いの期限は下請代金支払遅延等防止法(下請法)によって定められているため、たとえ下請法に該当しない業者との取引であっても60日を支払いサイクルとしているケースが非常に多いのではないでしょうか。

<参考>下請法による「下請代金の支払期日」

第二条の二
下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。

2.下請代金の支払期日が定められなかつたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日の前日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。

引用元:e-Gov 下請代金支払遅延等防止法

こういった不安を解消するために登場したのがファクタリングサービスなのです。

ファクタリングの仕組みを図解で解説!

企業はクライアントに期限までに品物を納品(またはサービスを提供)して、クライアントは期日までに支払いをします。

その際の支払い期日が翌々月になっているケースが非常に多いわけです。
ファクタリングの仕組みを図解で解説
しかしこの流れでは納品をしてから支払日までにタイムラグが発生しますし、取引先は1社だけではないので、企業側としてはいくつも売掛債権を抱えることになり資金繰りが厳しくなることもあります。

そこで登場するのがファクタリングです。
ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうことで(※1)、比較的短期間で売掛金を確実に現金化できるのです。

※1)ファクタリングには売掛債権の売却だけでなく、支払いを保証してもらうタイプもあります。

ファクタリングの流れ

ファクタリングの流れ(3社間の例)を解説します。
ファクタリングの流れ(3社間の例)
ファクタリングは、企業がクライアントから翌々月の月末払いと言われてしまい、このままでは資金繰りが怪しいと判断した場合などに検討することになります。

●ファクタリングの流れ(3社間の例)
1.企業がクライアントに納品・サービスを行います。
商品を納品したり、サービスを提供して取引を行います。

2.クライアントには売掛債権が発生します。
クライアントは企業に支払いをしなければいけないのですが、多くの場合、支払い期日は翌々月になるため、企業としては苦しくなってしまうことも・・・

3.企業がファクタリング会社に売掛債権を売却(譲渡)する相談をします。
クライアントからの支払いを待っていられないと判断したら、ファクタリング会社に売掛債権をいくらで買ってもらえるか相談をします。

ファクタリング会社は手数料を差し引いた金額を提案します。例えば100万円の債権がある場合、手数料を5%として95万円を支払うなど。

企業は手数料の分だけ利益は減りますが、それでも利益が出て資金繰りの悪化を防げることになると判断できれば依頼することになります。

4.ファクタリング会社が企業に入金します。
企業とファクタリング会社間で契約を結んだら、即時振込が実行されます。
企業側としては100万円の入金が95万円になってしまいましたが、本来の支払日を待たずに現金が入ることになるので、迅速に次の取引の資金にすることができます。

ファクタリング会社はクライアントに売掛債権が譲渡されたことを伝えて(※2)、本来の期日である翌々月に本来の支払額を入金してもらうようにします。

※2)企業とファクタリング会社の2社間のみでファクタリングを行う場合は売掛先に売掛債権売却が知られることはありません。

5.クライアントがファクタリング会社に入金を行います。
クライアントは翌々月に100万円をファクタリング会社に支払います。クライアントにとっては、支払い金額と期日に変わりはありません。

ファクタリングの種類

上の項目でご紹介した例は、企業・クライアント・ファクタリング会社の3社が関係してくる「3社間ファクタリング」と呼ばれるケースになります。

このケースでは3社が合意の上でファクタリングが行われるのでトラブルも少ないのですが、債権を売却したことをクライアントに知られたくないというケースも考えられます。

クライアントに知られたくない場合は、企業とファクタリング会社だけで取引を行う「2社間ファクタリング」という方法を用いることになります。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、確認しておきましょう。

3社間ファクタリングのメリット

まず、3社間ファクタリングを実行するは、取引先企業に「ファクタリングを利用します」と通知して、承諾を得る必要があります。

ファクタリングを行う企業にとっては手数料が引かれるものの即金があり、ファクタリング会社にはクライアントから確実な入金があるというメリットがあります。

また、クライアントからの確実な支払いがあるということは、ファクタリング会社はノーリスクな取引となるわけです。

このことから、2社間ファクタリングよりも手数料を安く設定することができるため、企業にとっては2社間ファクタリングよりも利益が大きくなるというメリットもあります。

3社間ファクタリングのデメリット

3社間ファクタリングの大きなデメリットは、クライアントに通知しなければいけないところです。

これまでの日本の商業習慣によって、「売掛金の譲渡」という取引に対して良い印象を持つ企業は非常に少なく、「売掛金を売却したということは、あの会社は経営が危ないのでは?」と思われてしまうことも少なくありません。

そのため、今後の取引に影響を与えてしまうことも十分に考えられます。

また、3社間での合意が必要になるため、書類の作成などの手続きがスムーズに行われないことがあり、即金とはいかない可能性もあります。

2社間ファクタリングのメリット

2社間ファクタリングは、取引先企業に売掛債権を譲渡したことを通知しないファクタリングになります。

お金の動きとしては、2社間で契約を交わしたらまずファクタリング会社が依頼元である企業に手数料を引いた金額を支払います。

企業はクライアントから入金があったらファクタリング会社に支払いを行うことになります。

2社間ファクタリングなら、クライアントに資金繰りが厳しい企業という印象を持たれることがないので、この点は非常に大きなメリットになります。

しかし、ファクタリング会社にとっては大きなリスクを抱えることになります。

2社間ファクタリングのデメリット

2社間ファクタリングではクライアントから企業へ支払いが行われないとファクタリング会社の利益にはならないため、ファクタリング会社は企業を信頼して先払いで支払いを行う形になります。

2社間ファクタリングでファクタリング会社が抱えるリスクは、

・クライアントから支払われた金額を企業が使い込むことがある
・ファクタリング会社に支払いが実行される前に企業が倒産してしまった
・企業がファクタリング会社に内緒で別のファクタリング会社に債権譲渡した

など、「確実な支払いが約束されていないこと」になります。

3社間ファクタリングと比べると貸し倒れのリスクが高くなってしまうことから、手数料を高く設定してリスク回避を図ることになります。

3社間ファクタリングの金利:1%〜5%程度
2社間ファクタリングの金利:6%〜40%程度になることも

手数料の高さは2社間ファクタリングのデメリットと言えます。

また、2社間ファクタリングはファクタリング会社にとってハイリスクとなることから、

・大手ファクタリング会社は2社間ファクタリングを行なっていない
・3社間ファクタリングよりも審査が厳しくなる

などのデメリットもあります。

ファクタリングを利用できないケース

企業側がファクタリング会社を利用したいと考えていても、条件次第で利用できないこともあります。

●ファクタリングを利用できないケース
・売掛先と譲渡金特約を交わしている
・売掛先の信用性が非常に低い
・売掛債権が他社に譲渡されている
など

売掛金を回収できないリスクが高い低いほど不利になると言えますね。

保証ファクタリングとは?

ここまでご紹介してきたのは、債権を譲渡(売却)して支払い期日を待たずに確実に現金を得る「買取ファクタリング」という方法でした。

これに対して、「保証ファクタリング」は、企業が持っているクライアントの売掛債権または手形をファクタリング会社が保証するタイプのファクタリングサービスになります。

債権を買い取ってもらうのではなく、万が一のことがあった時に保証金を支払ってもらうための保険のようなサービスです。

保証ファクタリングはいつ支払いが行われるの?

保証(支払い)は、クライアントが倒産する、手形や小切手が不渡りとなるなど、経営破綻が確認されてから履行されることになります。

保証ファクタリングはいくら保証してもらえるの?

審査次第になりますが、多くの場合売掛債権の100%が保証金額となります。(保証されないケースもあります)

保証ファクタリングのメリット

保証ファクタリングは支払日をまたずに資金を得るという方法ではなく、貸し倒れが不安なクライアントに対して保険をかけてリスクを回避することが目的となります。

2社間・3社間ファクタリングは「買取」、保証ファクタリングはあくまでも「保証」となるという違いがあります。

債権の売却にならないことから、保証ファクタリングを利用したことを売掛先に通知する必要がありません。

クライアントの信用力に不安を感じていることを知られずに売掛債権の保証を受けられるのは非常に大きなメリットでしょう。

保証ファクタリングのデメリット

デメリットは売掛債権を現金化できるタイミングが遅くなることです。

保証ファクタリングはクライアントの倒産など支払い不能となる事態が発生しないと履行されないので、「売掛金が回収不能になった」と判断されない場合は、保証金を受け取れないのです。

このリスクを回避するには、支払いの遅延でも保証金を受け取れるタイプの保証ファクタリングを検討する必要があります。


   

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