総量規制とは?総量規制対象外・年収に関係なくお金借りる方法

総量規制はお金の借りすぎ、貸しすぎを防ぐために定められている規制です。
カードローンでお金を借りる人みんなに関わってくる規則なので、しっかりと知っておきたいところです。
本記事では総量規制に該当するもの、除外される借り入れ、例外となる借り入れなどをわかりやすく解説しています。
総量規制に引っかからずにお金借りる方法も詳しくご紹介していますので、ぜひ知識を身につけてくださいね。
総量規制とは?
総量規制は貸金業法によって定められている仕組みで、個人の借り入れ総額が年収の3分の1に制限されることを言います。
たとえば年収が450万円の人が借りられる金額は、年収の3分の1の150万円までとなります。
ただ、お金を借りる方法はたくさんありますし、クレジットカードはどうなの?とか、住宅ローンを組んでたらお金を借りられないの?など、気になることもたくさんあります。
収入にも種類がありますよね。年金や家賃収入は含めて良いのかなども知りたいところです。
実際、総量規制には「例外」と「除外」、それからそもそも総量規制に該当しない「対象外」があり、意外とややこしいルールが存在するのです。
総量規制に含まれる年収とは?
総量規制では年収の3分の1を超える借り入れはできません。このルールは年齢や職業によって変わるものではない基本的なことになります。
年収に該当するものを解説します。
・給与
会社員の給料などはもちろん総量規制の年収に該当します。給料は手取りではなく、交通費や残業代などの手当ても含めた総支給額で計算します。ボーナスがあれば含めてしまって構いません。
・個人事業主の事業所得
個人で商売をしていたりフリーランスでお仕事をしている人の事業所得も年収に含まれます。経費を引いた金額で計算します。
・家賃などの不動産収入
大家さんなどの不動産収入も年収に含まれます。毎月の家賃、更新料、礼金、保証金、共益費などすべて含めることができます。
・年金
国民年金や厚生年金などの公的年金も私的年金もどちらも含まれます。また、恩給も総量規制の年収に該当します。
年収に含まれない収入は?
一時的な収入など、年収に含まれないものもあります。
・パチンコで勝ったなどギャンブルの儲け
・投資の利子、配当
・資産の譲渡で得た収入
・退職金などの一時的な収入
など
これらの一時的な収入は年収には含みません。
総量規制の年収 どうやって調べるの?
年収が非常に重要になる総量規制ですが、貸金業社が個人の年収をどうやって確認するのかというと、まずは自己申告になります。
申し込みをする際に必ず年収を聞かれるので自己申告します。
借り入れ金額が50万円以下なら自己申告だけで終わりますが、以下の場合は収入証明書の提出を求められます。
・複数社からの合計借り入れ額が100万円を超えるとき
源泉徴収票
給与明細(2ヶ月分など)
確定申告書
納税通知書
納税証明書
所得証明書
年金証書
年金通知書
など
最初は自己申告で、条件によっては収入証明書を提出してきちんと確認をとってもらうことになります。なお、収入証明書の提出を求められたらいちばん新しいものを提出するようにしましょう。
総量規制に該当する借り入れ
総量規制は貸金業社として貸金業法に基づいた貸付を行なっている業者からお金を借りた場合に適用されます。
では、貸金業社とは何なのでしょうか?
貸金業社からの借り入れは総量規制の対象になる
貸金業社とは、文字通りお金の貸付を行なっている業者になります。貸金業を行うには内閣総理大臣、または各都道府県知事の認可を受けて登録をしなければいけません。
利用しようとしている貸金業者がきちんと登録を行なっている正規の貸金業社であることを確認したい場合は、金融庁の「登録貸金業者情報検索入力ページ」で検索することができます。
貸金業社として登録をすると、登録番号が付与されます。
貸金業社の公式ホームページには必ずこの登録番号が記載されていますので、探して検索をしてみてください。
貸金業社として登録されている主な業種は以下のようになります。
消費者金融
アコム、プロミス、SMBCモビット、アイフルなどの消費者金融は貸金業社になります。
クレジットカード会社
クレジットカードはお買い物にも利用しますが、キャッシング枠を使った現金の借り入れも可能です。そのため、クレジットカード会社も貸金業社として登録しています。
事業者金融
あまりなじみがないかもしれませんが、事業者金融は中小企業の経営者や個人事業主に対して事業資金を貸している貸金業社になります。
この他にも、クラウドファンディングを行なっている業者、リース会社なども貸金業社に該当します。これらの業者からの借り入れは総量規制に該当することを覚えておきましょう。
銀行は貸金業社じゃないの?
お金を貸している業者といえば真っ先に銀行が思い浮かぶかもしれませんが、銀行は貸金業社ではありません。
銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合、農協・漁協などは貸金業社にはならないのです。また、大黒屋などの質屋もお金を貸していますが貸金業社にはなりません。
後ほど詳しく解説しますが、これらの貸金業社に該当しない業者からの借り入れは、総量規制に含まれる借り入れ額にカウントされないことになります。
総量規制の例外と除外
総量規制には「例外」と「除外」があり、どちらかに該当する借り入れは年収の3分の1を貸金業社から借りていても問題ありません。
総量規制の除外になるもの
貸金業法によって定められている総量規制の除外項目はこのとおりです。
・不動産担保または不動産改良のための貸付(つなぎ融資を含む)
・自動車購入時の自動車担保貸付
・高額療養費の貸付
・有価証券担保貸付
・不動産担保貸付
・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付
・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付
・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
住宅ローンや自動車ローンは総量規制の対象になりません。また、不動産担保貸付などの有担保ローンや、高額医療費の借り入れも総量規制に含まれません。
総量規制の例外になるもの
除外と例外の違いは、
・例外…総量規制としての貸付残高になりますが、返済能力があると判断されれば例外として融資が可能になる貸付
となります。
ただし、例外に該当したとしても必ずお金を借りられるわけではなく、融資は審査次第となります。
・顧客に一方的有利となる借換
・緊急の医療費の貸付
・社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付
・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付
・個人事業者に対する貸付
・預金取扱金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付
例外の中で注目したいのが「顧客に一方的有利となる借換」と「配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付」です。
・顧客に一方的有利となる借換とは?
文字通り、利用者にとって有利になる貸付なら年収の3分の1を超えていても良いということになるのですが、おまとめローンや借り換えが該当します。おまとめローンも借り換えも、借り入れ額や返済利息を減らす顧客に有利な借り入れになるので、総量規制の例外になるのです。
・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付とは?(配偶者貸付)
配偶者貸付は、本人に収入がない場合でも配偶者の年収と合わせた金額の3分の1までならお金を借りることができるという例外になります。
総量規制は年収の3分の1を超える借り入れはできないので、本人に収入がない専業主婦の方などはそもそもお金を借りられないことになります。
でも、本当に大変なときにお金を借りられないのは困ってしまいますよね。そこで総量規制の例外として「配偶者貸付」が設けられているのです。
ただ配偶者貸付は総量規制としては認められていますが、すべての消費者金融などが対応しているわけではありません。
アコムやプロミスなどの最大手は配偶者貸付を行なっておらず、本人に収入がない専業主婦の利用は認めていません。
また、配偶者貸付を利用するには、配偶者の同意書、婚姻関係を示す書類(住民票など)、配偶者の年収を証明できる書類が必要になります。
総量規制の対象外になる年収に関係のないお金の借り方
上の項目で銀行や信用金庫などからの借り入れは総量規制に該当しないとお伝えしましたが、これは銀行からお金を借りる住宅ローンや目的別ローンだけではありません。
銀行カードローンは総量規制対象外
銀行が資金使途を制限せずに個人に貸付を行なっている銀行カードローンも総量規制の対象外になります。
融資は審査次第なので銀行ならいくらでも借りられるというわけではありませんし、多重債務者を生まないように銀行も自主規制を行なっていますが、実際、銀行は本人に収入がない専業主婦本人にも貸付を行なっています。
質屋も総量規制対象外
質屋は預ける品物を担保にしてお金を貸してくれる業者ですが、貸金業法ではなく質屋営業法に基づいた運営を行なっているので、総量規制の対象外になります。
また、質屋は次の項目で紹介する信用情報機関との連携がないため、質屋を利用してお金を借りたことは信用情報機関に登録されることもありません。年収に関係なくお金を借りたい場合は検討してみると良いでしょう。
貸金業社は他社からの借り入れ額を調べることができる
他の貸金業社からの借り入れ額やクレジットカードの利用状況などは「信用情報」と呼ばれていて、日本に3社ある「指定信用情報機関」というところに全て記録されています。
貸金業社はいずれかの信用情報機関に加盟していて、審査を行うときに照会をかけることで、個人の借り入れ額などをすべて把握することができるんです。
なお、3つの信用情報機関はCRIN(Credit Information Network)というネットワークを持っていて、個人の信用情報を共有することができます。
そのため、どこの貸金業社からいくら借りているのかは調べれば確実にわかることとなります。
総量規制に引っかかりそうだからといってウソの申告をしても必ずバレますし、嘘をつく人にお金を貸してくれる貸金業社はありません。
借り入れ額と借り入れ件数は正直に申告するようにしましょう。
総量規制を破ったらどうなるの?
総量規制はお金を貸す側の貸金業社とお金を借りる個人の両方に関わってくる規則ですが、もし破ってしまった場合にペナルティなどはあるのでしょうか?
総量規制を破った個人はどうなるの?
年収の3分の1を超える借り入れを行なった個人に対する罰則はありません。すぐに返済を求められることもありません。ただし、借り入れ額が年収の3分の1以下になるまで新たな借り入れはできません。
総量規制を破った貸金業社はどうなるの?
貸金業社が総量規制を破ってしまうと重いペナルティがあり、一定期間営業停止処分となります。総量規制を超える貸付を故意に繰り返したり、悪質と判断されてしまうと貸金業社としての登録を取り消されることもあります。
総量規制に関するQ&A
総量規制の内容がお分かりいただけたでしょうか?
ここからは、総量規制に関するちょっとした疑問をQ&A方式でお伝えします。
総量規制っていつから始まったの?
総量規制は貸金業法の中の規則になります。貸金業法は2006年12月に設立したのですが、このタイミングで総量規制を施行してしまっては影響が大きすぎると判断され、すぐには実行されませんでした。総量規制を含む全ての規定が施行されたのは2010年6月18日になります。
クレジットカードのショッピング枠は総量規制に含まれないの?
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があります。ショッピング枠はお買い物や、スマホの通信料・通話料の支払い、公共料金の支払いなどのお買い物に利用できる枠になります。
普段あまり意識しないかもしれませんが、ショッピング枠には利用できる限度額があります。
例えば50万円が限度額だとすると、50万円を超えるお買い物はできません。
この限度額は増額申請を受けることで引き上げてもらうこともできますし、旅行代金や引っ越し代金の支払いのためなどに一時的に引き上げてもらうこともできます。
ショッピング枠は直接お金を借りるわけではないので、総量規制には含まれません。
キャッシング枠は、文字どおりお金を借りられる枠です。クレジットカードを使ってATMからお金を引き出すことでお金を借りることができます。
貸金業社であるクレジットカード会社からお金を借りることになるので、この場合は総量規制に該当します。
しかし、キャッシング枠が総量規制に該当するからといって、クレジットカードのショッピング枠をお金に変える「クレジットカードの現金化」はやってはいけません。
カード会社が禁止している行為なので規定違反となります。
クレジットカードのショッピング枠で買った品物は、決済が終わるまではクレジットカード会社の所有物になっています。
そのため品物の転売行為が横領罪、換金目的であることが詐欺罪に該当する恐れもありますので、絶対に手を出さないようにしましょう。
クレジットカードキャッシング枠の合計が100万円を超えているとどうなるの?
複数のクレジットカードのキャッシング枠を合計したら100万円を超えていたとしても実際に借り入れを行わなければ特に手続きをする必要はありません。
100万円を超える借り入れを行う場合は、収入証明書の提出が必要になりますので、求められたら提出するようにしましょう。
連帯保証人がいても年収の3分の1を超える借り入れはできないの?
残念ながら連帯保証人を立てたとしても年収の3分の1を超える借り入れはできません。
ちなみに配偶者貸付では配偶者の同意が必要になるとお話ししましたが、この場合も配偶者は借り入れに同意したというだけで、連帯保証人になっているわけではありません。
今現在、総量規制を超える借り入れがある場合、罰則とかはある?
新規の借り入れはできませんが、すぐに返済しないといけないなどのペナルティは一切ありません。契約どおりに返済を続けていけば大丈夫です。
総量規制の金額以上を貸してくれる貸金業社もあるみたいだけど?
総量規制があるために大手消費者金融からお金を借りることができない人向けに総量規制以上の貸付を行なっているのは闇金などの違法業者になります。どんなに困っていても絶対に闇金からお金を借りてはいけません。
